アセクシャルやノンセクシャルにはトラウマがあり、それを治療すればマイノリティが解消される、つまり治ると考える人は少なくありません。
ですが、それは大きな誤解です。
【1】トラウマがあるのかと言われても困る…
アセクシャルとノンセクシャルを揺れ動くライター、雁屋優です。今回はアセクシャルやノンセクシャルにまつわるとある誤解について書いていきます。
私は結婚や恋愛の話を振られるのが結構ストレスに感じるタイプなので、セクシャルマイノリティを知っていそうな人にはアセクシャルとノンセクシャルを揺れ動いている自身のことをカミングアウトしています。
そうすると、恋愛の話を振られなくなるので、ストレスが減ります。しかし、なかには恋愛やエッチにトラウマがあると誤解してしまう人もいたのです。
トラウマがあるのかと勘違いするだけでなく、それを克服すれば恋愛もエッチも平気になると考える人までいました。
【2】Aセクやノンセク=トラウマがある・克服できる、ではない
アセクシャルやノンセクシャルを知っている人はかなりセクシャルマイノリティについて詳しく勉強しているといえます。
LGBT以外のセクシャルマイノリティについては名前すら知らないという人も多いのです。そんな人でもアセクシャルやノンセクシャルは恋愛やエッチにトラウマがあると誤解してしまうことがあるのです。
(1)恋愛感情や性欲がわいてこないだけ
アセクシャルやノンセクシャルであることを伝えると、どういうわけかトラウマを連想され、恋愛やエッチにトラウマをもったかわいそうな人という扱いをされることがあります。
「なにか、あったの?」とおそるおそる聞かれたときには、なにかトラウマがなきゃアセクシャルやノンセクシャルではいけないのかと不安になったこともあります。
なにかがあって恋愛感情や性欲のないことに気づく人もいますし、ある日ふとそういえばないなと気づく人もいます。そして、前者の場合でもその何かはトラウマとは限らないのです。
(2)トラウマではないので克服や治療ができるものではない
「アセクシャルやノンセクシャルなのは恋愛やエッチにトラウマがあるからだ」という誤解は、決して見過ごせるものではありません。
なぜなら、「トラウマが原因ならトラウマを克服して普通に恋愛やエッチをする人になれるよね」といった新たな偏見や差別を生むからです。それは、アセクシャルやノンセクシャルは治療によって治せるものだという誤解へと繋がっていきます。
かつて同性愛者も治療できるとされた時代があったように、アセクシャルやノンセクシャルも治療できるものだと考えられて治療が施されるようになってしまったらそれは恐ろしい社会になるといえます。
アセクシャルやノンセクシャルが治療すべきもの(病気=悪いもの)として扱われてしまうのです。それではマイノリティの人々は安心して生活できませんよね。マイノリティの人々を“普通”にしようという試みは行われるべきではないのです。
【3】まとめ
アセクシャルやノンセクシャルは、トラウマがあってなるマイノリティではなく、そしてその誤解はさらなる偏見や差別を生んでしまうことになります。アセクシャルやノンセクシャルは恋愛やエッチにトラウマがあるとは限りません。
身近な人にアセクシャルやノンセクシャルをカミングアウトされても、その人が恋愛やエッチにトラウマがあると決めつけることはせずに、その人の話を聞いてみてください。
セクシャリティは何か理由があって決定づけられるものでもなく、また流動的なものでもあるのです。
(雁屋優/ライター)
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