Shano編集部は19日に行われたLGBT総合研究所の「LGBT意識国別調査2019 調査報告会」に出席しました。
報告会の様子(17時30分〜19時)についてご報告致します。
【1】LGBT総合研究所における“LGBT”の定義
LGBTの定義については、法整備がまだ十分になされていないため、LGBTを扱う各メディアにっても見解が分かれています。
したがって、LGBT総合研究所では、レズビアン・ゲイセクシャル・バイセクシャル・トランスジェンダーをLGBTと定義。その他のマイノリティ(シスジェンダーかつ異性愛者以外のこと)を含む場合にLGBT・性的少数者と定義しています。
「Sexual Orientatin」については、恋愛感情または性的感情の対象に対する性別についての指向、あるいは性的感の対象に対する性別についての指向で議論が別れていますが、LGBT総合研究所では「性的指向」と訳しています。(なお、各報道を受けて、12月11日に、「Sexual Orientationを『性的指向』と訳し、その定義を、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいうこと」と補足しています)
また、性同一性については、自己の属する性別についての認識に関する性同一性の有無または程度に関わる意識としています。これを性自認と認識した場合について、自己の認識だけで良いのかという議論がなされれいますが、LGBT総合研究所においては、「性同一性(性自認)」と表記しています。(調査研究においては、出生時の指定性別に対して異なる性で“生きたい人”まで含んでいるようです)
そして、非LGBT(マジョリティ)については、シスジェンダーかつ異性愛者と定義しています。
【2】以前のデータと比較し、2019年の調査で顕著になったこと
3年前と比較した場合に、性的指向区分、異性愛者(93.0%)・同性愛者(0.9%)・両性愛者(2.8%)・無性愛者(0.9%)・クエスチョニング(1.4%)・その他(1.0%)と区分した際、両性愛・クエスチョニングが増加傾向にありました。性同一性については、シスジェンダー(93.9%)・トランスジェンダー(1.8%)・Xジェンダー(2.5%)・クエスチョニング(1.2%)・その他(0.6%)と区分した際、Xジェンダーとクエスチョニングに増加傾向がありました。ただし、以前と調査方法を変更しているため、純粋に増加したと解釈することは困難なようです。
また、フレンドリー企業に対する就業意向の調査として、「LGBTに対する理解や取り組みを行う企業の商品・サービスを利用してみたいですか」と質問。「待遇や職種に関わらず働いてみたい」「待遇や職種が他社と同条件であれば働いてみたい」「待遇や職種のみを重視する」の3択での回答としました。これについては、就業意向に大きな差異がないものの、商品・サービスの利用に積極的な人が3年前と比較し、若干の上昇傾向がありました。LGBTへの理解が進んでいると解釈が述べられています。
「自分の性のあり方について、悩んだことがある」ということについては、LGBT層の回答は「そう思う・ややそう思う」が26.8%。「あまりそう思わない」が30.3%。「そう思わない」が42.9%でした。LGBT総合研究所司会進行者個人としては、「思ったよりも少ない」と感じたとこのことです。
【3】Shanoとの定義の差分
Shano編集部では、執筆するセクシャルマイノリティ当事者の執筆した表記を尊重しつつ、LGBTと表記した場合には、レズビアン・ゲイセクシャル・バイセクシャル・トランスジェンダーと定義。(ただし、LGBTだけを分ける必要はほとんどないと考えているため、原則使用していません)
LGBTQIA+(セクシャルマイノリティ)については、恋愛指向と性的指向は分けて扱っています。理由としては、必ずしも恋愛指向と性的指向が一致しない当事者が現状として多くいらっしゃること、恋愛指向だけを指すリスロマンティック、恋愛指向と性的指向が一致していないノンセクシャルなどのがあるためです。
ノンセクシャルは、恋愛感情と性的欲求について言及することもありますが、日本ではアセクシャルと分ける動きがあり、“他者に恋愛感情は抱いても、性的欲求を抱かないこと”とする動きがあるため、こちらの解釈を取っています。
また、性同一性については、原則“生きたい”と定義せず、“異なる性だと自覚していること”と定義しています。一部、「男/女ではあるけれど、別の性で生きたい」など異なる性で生きることへの“願望”を持つ“生きたい”層を扱う場合には、その限りではありません。
非LGBT(マジョリティ)については、リスロマンティックなど多くのセクシャルマイノリティを除き定義することは困難であるため、“マジョリティ(非セクシャルマイノリティ)であると自認している人”と定義します。
(Shano編集部)
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