アロマンティックと気がつくまで〜異性への好きの感覚・入り乱れたマイノリティ〜

アロマンティックと気がつくまで〜異性への好きの感覚・入り乱れたマイノリティ〜

私はアロマンティックを自認しています。自分は恋愛観が違うと気づいてから恋愛感情がないと知るまでと、あらゆるLGBTが入り乱れた自分のマイノリティへの自覚について回顧します。

【1】人を好きになる気持ちは芸能人へのソレと同じ

中学生ぐらいに、自分自身の恋愛観が違うことに気がつき始めました。なぜなら、恋バナをしても、何も尊敬できるところがないのに好きになれる理由が分からなかったから。恋愛相談をされても、困ることばかり。それで分かったのは、盲目になるのが恋。それを踏まえて考えると、「私がしてきた恋は恋じゃなかったのかもしれない」と思うようになりました。

私が人を好きになるのは、芸能人を好きになる感情と同じ。憧れる部分があって、尊敬できる部分があって、でも、それに愛はないのです。だって、遠すぎるし、好きな人が付き合うということ自体が考えられないから。あくまでも憧れの延長線で応援したいという気持ちしか湧かない。人によっては、私の恋を「ピュアだね」と言いました。

それが自分自身のセクシュアリティーだとは思いもしなかった。周りからも「初恋をしていないだけ」「いい人に出会えていないだけ」と言われていたから、そうなのかなと自分自身を納得させていたところがあります。アロマンティックは、どんな人と付き合えるのか。

大学生になって、ちゃんとした彼氏ができるようになりました。悪い人ではないし、私に優しくしてくれるし、周りからも応援してもらえそうな人に告白されたから、付き合うことにしたのです。その後も「もしかしたら好きになれるかもしれない」という淡い期待を抱いて、何人かの告白を受けたことがあります。しかし、全員好きになんか、なれなかったのです。

手をつなぐとか、その先にある恋人らしいことをしてみても、ただあるのは無感情。これを話すと、「お前は人間味がない」と言われたこともある。もしかしたら、レズビアンだって言った方が周りに理解してもらえるかもしれない……。異常者じゃないと証明したくて、彼氏を作ったのに。分かったのは「普通じゃない」ということだけです。

それから、同性と付き合ったこともないし、同性を好きになったこともありません。尊敬できる部分があれば、同性と付き合うこともあると思っています。異性に対しても同じことなんですけれどね。

人を好きになる気持ちは芸能人へのソレと同じ

【2】アロマンティックだと自覚したとき

はっきりと自覚したのは、22歳になってからです。何の気なしにセクシュアリティ診断『anone,』をしました。そうすると、アロマンティックという言葉が出てきて、その説明を見ると今までのモヤモヤが晴れました。自身のことを整理してみた結果はこんな感じでした。

  • こころの性 → シスジェンダー(体の性とこころが一致している)
  • 恋愛指向 → アロマンティック(愛に恋愛感情はない)
  • 性的指向 → ヘテロセクシュアル(異性に対して性的な欲求を抱く)、サピオセクシュアル(知性を愛する)
  • 表現したい性 → シスジェンダー(体の性とありたい自分が同じ)

このときに初めて、異性を好きになることだけがセクシュアリティじゃないと知りました。

【3】まとめ

自身の経験から、体と心の性が一致している「シスジェンダー」も立派なLGBT+の当事者なのだと気付かされました。

病気でもないから診断されることもない。セクシュアリティは、生きていると途中で変わるもの。だから、私がアロマンティックだと思う限り、そのように名乗るつもりです。

(杉本しほ/ライター)

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1 個のコメント

  • 『異常者じゃないと証明したくて、彼氏を作ったのに。分かったのは「普通じゃない」ということだけです。』
    とても共感しました。

    私もずっと周りの友人に「まだ本当に好きな人に出会ってないだけ。これからできるよ。」と言われ続けてきて、自分でもそうなのかもと思っていました。

    でもアロマンティックという言葉とその意味を知ったとき、自分がそれであることを初めて自覚しました。

    今はまだ年齢的に結婚したいという気持ちはないですが、将来的には好きな人と結婚して
    子供を産んで、幸せな家庭を築くのが憧れでした。
    ですが、アロマンティック、アセクシュアルである自分にはそれが叶うのかなと思っています。

    ですがひとまず、今までは「好きな人作らなきゃ」「恋人作らなきゃ」という気持ちにいつの間にか縛られていましたが
    自分のセクシュアリティを知ることが出来て、私は今まで無理していたんだな、無理にそうする必要はないんだ、と気付くことが出来ました。

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