世の中が同性婚というものについて否定だけではない、「話し合うべき話題」として着目されるようになってきました。ですがその一方で実際どうするかという部分については進んでいるかどうか、というものは難しいところがありますね。
結婚制度そのものについて考えてみると、どうやら異性婚をしている方々にも困り事があるように感じました。
【1】一昔前と現代の違い
「ほとんどの人が結婚をしており、結婚をしていない人が珍しい」という時代もありました。それも大昔の話ではなく、「一昔前」とでも言えるくらいの時代です。
ある程度の年齢になった成人で結婚をしていない人というのが社会的に不審がられたり、地域の中にお見合いなど様々な良い意味でもそうではない意味でも「世話焼き」をする人がいました。
他にも多々理由はありますが、結婚というものが社会で生きる上でかなりの重要度を持っていたんですね。とはいえ、本当に半世紀よりも短い年月での変化なのですが……。
【2】制度が合わない?
さて、現代になり社会は大きく変わりました。価値観から何から挙げればきりが無いほど大小様々なものが変化したともいえますね。その中で、どうやら異性愛者同士の結婚についても困り事を抱えている人もいるようです。
例えば、名字について。どちらの姓にするかというのは幸せな感情を抱く人がいる一方、面倒なので名字を変えたくない……という方もいらっしゃいます。というのも、名字という重要事項を変えるわけですから婚姻届一枚で全てがどうにかなるというわけではなく、銀行口座や携帯電話などの名義変更という手間のかかる手続きが目白押しです。
自分の名前に重要な物事が紐付けられることが増えた世の中になったからこその、という困り事なのかもしれませんね。
【3】考え方、価値観の違い?
これは現実でもよく聞く台詞ではあるのですが、結婚をした人に「お子さんはまだ?」と聞く人がいらっしゃいますよね。よくよく考えると、あれは親戚であったとしても他人のプライベートに関することを恐らく世間話の感覚で聞いているということになります。
あとは夫婦それぞれの実家にもよりますが、「家」のしきたりに合わせなければならないというところもあるんですよね……いつの時代だと思われるかもしれませんが、現代のお話です。そのため、本来ならばパートナー同士で考えたいことがそうそう決められないという困難さが出てきます。
とはいえ、これも価値観が変化したからこその違和感なので、少し前ならば家に合わせるのが当たり前ということになりますね。
【4】マジョリティも楽になるケースを考える
勿論、今の制度で問題ない人達も存在します。けれど、異性愛者の中にも結婚したいけれど現在の結婚制度が合わないという人も一定数存在します。
価値観などに関しては人の思考に関わるものなのですぐにどうにか出来るかと言われれば難しいとしか言えないのですが、少なくとも「同性婚を含め現在の結婚制度を考えよう」というのは無駄ではないと思うのです。
というのも、例えば普段車椅子を使用している方が「駅にエレベーターを設置してほしい」とお願いしたときに、足に問題のない人は然程関心を向けないことがあります。ですが、怪我などにより足が一時的にでも不自由になったとき、そうした人達の願いによって自分も動きやすい生活が出来ることに気付くことになりますね。
マイノリティとマジョリティの関係には往々にしてこうしたことがあります。最初はマイノリティの為に用意されたものが、マジョリティの人々にも良い影響を与えているというパターンです。現在の結婚制度にまつわる細かな決め事も決められてからが長く、制度が人々に追いついていないとすればじっくりと考え直す時期かもしれません。
【5】まとめ
セクシャルマイノリティ当事者であると、どうしてもマジョリティの中にも存在する困り事に目が向かないことがあります。
筆者としても、現在の社会制度の中で多数派なんだから気楽だろうと思ってしまう瞬間がないと言えばウソになります。もしかしたらこうした思考がマイノリティ側とマジョリティ側の溝を深めてしまう原因になるのかもしれないと考えると、一旦落ち着いて別の視点から考え直せる人間になろうと意識する切っ掛けになりました。
マイノリティの為に、というよりも「これからを生きる人達が楽しく暮らせる道はどこだ!」の姿勢で考えたいですね。
(シキ/ライター)
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