オンライン飲み会等が流行ってから、芸能人の間でも話題になった「人狼ゲーム」というものをご存知でしょうか。
村の中に混ざった村人を襲う人狼、占い師や霊媒、騎士などの様々な役職を担う参加者達が各々の勝利条件の為に心理戦をしたり、推理をして行動を決めていくというハマる人はハマる遊びです。
そんな人狼ゲームがSF世界を舞台に行われる作品が、「グノーシア」になります。
【1】第3の性「汎」という存在
こうしたゲームで主人公を決める場合、私のように「性自認が男女どちらでもない」ような枠にいる身としては主人公の性別を決めるという作業が何よりも困ることがあります。
ところが、主人公の設定をする際に驚きました。男性女性以外に謎の性別、「汎」というものがあったんです。これは一体何だろうと説明を見れば「男性、女性にも属さない第三の性」というような記載がありました。
SF世界だからこそ、というのもあるかもしれませんが…この「第三の性」が存在しているということだけで気が楽になったんです。Xジェンダーやトランスジェンダーも楽しみやすいかもしれません。
【2】男性もいる、女性もいる…その中で馴染む「汎」
宇宙船という閉鎖環境の中には、男性のキャラクターも女性のキャラクターもいます。外見も多種多様で、性別が汎のキャラクターもそこに馴染んでおり、性別が汎という存在が当たり前であるという前提で会話が進められることもあるのです。
時には「性別が汎であるということは肉体の性別とは関係ない」と言うようなシーンさえあり、そちら側の身としては「そう!そういうことなんです!」と頷くことが多々ありました。
ゲームとして考えるならばキャラクターの性別云々よりも、自分はこのゲームの中で生き残れるのだろうかというスリルの中にいるのでそれどころではないとも言えるのですが……。
【3】「ゲームの目的」に関わらないからこそ多様性を受け入れやすい人狼ゲーム
「グノーシア」というものを「人狼ゲーム」として考えるならば、重要なのはその時に存在するキャラクターの発言や役職です。
ですから、キャラクターがどれだけSF的な要素を含んでいても、どれだけ人間離れした見た目をしていても、「汎」という現実にはない性別があろうともそこを深く気に掛ける必要はないんですね。
ゲーム内ではループを重ね、その度に自分達の生存をかけた推理戦を繰り返します。そうなってくると最初は見た目の奇抜さやキャラクターの設定に驚いていても段々と慣れてきますし、「ああそうそう、このキャラはこういうキャラじゃないと」というような雰囲気でゲームを楽しめるんです。
筆者自身、「えっ、こんなキャラが出るの!?」となっていましたが、繰り返しているうちに「当たり前のこととして受け入れて」いました。
性別も何もかも、奇抜にすら思える多種多様を気が付いたら受け入れている…そういう要素が「人狼ゲーム」というだけではない面白さを含んでいて素敵だなと思います。
【4】まとめ
同性愛や同性婚に関しての要素を含んでいる作品というのは増えてきましたが、当たり前のことのように「どちらでもない性別」が選べるというのは特にゲームでは珍しく、また「選ばなくて良い気楽さ」が嬉しくて紹介させていただきました。
人狼ゲームとしても「何となく聞いたことがある」「確かこういうルールのゲームだったっけ?」という初心者から、実際に遊んだことのある熟練者まで楽しめる作品なのではと思います。リアルで集まって人狼ゲームをするのも難しいご時世ですし、こうした機会に触れてみていただけたら幸いです。
(シキ/ライター)
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