セクマイを理解する「アライ」のつもりであっても、実はセクシャル・マイノリティがモヤモヤしていることはよくあります。
理解を示したいと思っているのに、気づかず、相手に不快感を与えてしまうのは辛いですよね。そこで、理解を示しているつもりなのだろうと思いながらも、実はモヤモヤしてしまう発言をご紹介します。
【1】マイノリティへの理解を示しているつもりでも……
お盆も明けて日常に戻った人も多いと思います。
お盆で帰省するとよく聞かれる、恋人の有無や結婚の予定などといった少々お節介な質問。セクシャルマイノリティの存在を認知している人も増えた今では相手がセクシャルマイノリティあることを想定した質問に変わりつつあるご家庭もあるでしょう。
しかし、セクシャルマイノリティに配慮したつもりで恋愛至上主義から抜け出せていない質問がセクシャルマイノリティの当事者を傷つけていることもあるのです。
アセクシャルとノンセクシャルの間で揺れ動く私がもやっとした言葉を紹介します。
【2】結局恋愛至上主義の発言
理解を示しているつもりでも、真っ先にLGBTを思いつくためか、同性愛を想定した発言はできていても、それ以上のことは想定できず、恋愛至上主義的な発言が頻発しがちです。
こういった発言の厄介なところは善意であることに加え、発する本人は「相手への配慮ができている」と思いこんでしまっているところです。
気づかず傷つけているのは嫌ですよね……。セクマイ当事者の1人として、配慮が欠けがちなポイントについて説明していきます。
(1)「結婚しないの? ほら、パートナーシップとかもあるじゃない」
よく聞く「結婚しないの?」という質問ですが、最近はそれに、パートナーシップや養子縁組のことが付け加えられるようになりました。
異性愛者でないなら、同性愛者か両性愛者だと思っているのでしょうか。同性愛者や両性愛者であったとしても、選択肢は様々です。
同性婚のできる国に移住する人もいれば、パートナーシップ制度のある自治体で過ごす人、養子縁組をする人、恋人のままでいたい人など、考え方によってまちまちです。
そもそもパートナーシップ制度や養子縁組には課題が残っています。そんな複雑な事情を理解せずにそんなことを言われても、こちらとしてはもやっとする他ないわけです。
(2)「彼氏いないの? じゃあ彼女は?」
「彼氏いないの? じゃあ彼女は?」という質問も、先程の発言と似ています。異性愛者でない、つまり同性愛者であると思われているのです。
性欲がないノンセクシャルや恋愛感情を抱かないアセクシャルなどといった度異性愛者、両性愛者以外のセクシャルマイノリティのことはまったく想定されていません。
セクシャルマイノリティの一部しか理解していない人に多い発言です。セクシャルマイノリティには多様性があり、なかには恋愛をしない人もいるということを知らない人がいるのです。
こう言われると、「うーんどっちも欲しくないんだけどな……」と思いつつ、「何でか縁がないんですよね」と返すしかありません。
(3)「同性の恋人連れてきても驚かないからね」「大丈夫だからね」
アセクシャルやノンセクシャルを自認しているゆえに、あまりに恋愛にも結婚にも縁がない私へ親が言った一言が、「同性の恋人を連れてきても驚かないからね」「大丈夫だからね」というものでした。
私が、カミングアウトせずに恋人をひた隠しにしているとでも思ったのかもしれません。「同性の恋人を連れてきても、異性の恋人を連れてきたのと同じように歓迎するから大丈夫」と続きました。
しかし、この的外れな発言に驚いたのはこちらです。この人達には私が恋愛をしないとか性欲がないという想定はないのだと思うと、もやっとするだけでなく、もう話すのが面倒になってしまいました。
恋愛をしないという話をしても、「いつか運命の人が現れるかも」なんて的外れなことを言われそうな気配を察知して苦笑いでごまかしておきました。
【3】まとめ
これらの発言に共通するのは「男と女が恋愛をするもの」という価値観から「人は同性もしくは異性の誰かと恋愛をするもの」という価値観にスライドしただけということです。
恋愛をしないアセクシャルや性欲のないノンセクシャルにとっては生きづらい社会であることに何も変わりはありません。
恋愛をするのが当たり前ではなく、しない人もいるということが広まって欲しいものです。
(雁屋優/ライター)
コメントを残す