私は最近になってリスロマンティックを自認しました。リスロマンティックは、好きな人から好意を向けられることを望まない恋愛指向のこと。
気がつくに至るその経緯についてお話しします。
【1】付き合いたいから彼の役に立つのではない
高校の時、好きになった人は同級生の男の子。毎日顔を合わせれば軽口をたたき合って、部活に勉強にと忙しい日々を一緒に過ごす、ごく近しい友達の一人でした。
彼にとって私は戦友のようなものだったと思います。私は彼の友達でいられるのが心地よかった。頼られるたびに自分の知識や技能をフルに使って彼の役に立つことが、最大の目標でした。
普通なら付き合うことが目標になるのでしょうが、そういう人たちが用いるであろう“彼の役に立つ”という“手段”が、私にとっては“目標”だったのです。
【2】彼の好きな人になることが嫌
思春期後期の私たちには、近しい相手を恋愛対象として見る瞬間が否応なしにあったのでしょう。そのうち彼が私に好意的な目を向けるようになると、私は彼を否定しはじめました。言葉で、あるいは行動で。
ナイーブな彼にはそれが一番効き目があると分かっていたから。矛盾する言動に友人達は「素直じゃない」と言いました。私もそう思いましたし、傷ついている彼を見て、早く彼の視界から消えたいとすら思いました。
なぜそんな風に思ってしまうのか、でも私は彼を好きでいると同時に、彼の“好きな人”になることが嫌で嫌でたまりませんでした。“私を好きな彼”を見るといらだち、つい声を荒げ、距離を取ろうとしてしまうのです。確かに好きなのに、なぜ相手の好意を受け止められないのか。尽くすこと、相手のために何かすることには一切躊躇しないのに、相手からそうされると不快でたまらず気持ちがすっと冷めてしまうのです。
【3】いつも一方通行の恋愛で完成されていた
彼を諦めたあとも、同じようなことを繰り返しました。うまくいかない状況をよく見ていた友人に勧められ、恋愛傾向について色々と調べる気になったのはつい先日のことです。
リスロマンティック、それは“好きな相手から好意を返されることを望まない”恋愛傾向のこと。私の場合、一方的に好きでいることだけが幸せで完成された恋愛関係です。
自身の恋愛についてすべて諦めようとしていた私には、この恋愛傾向に名前がついたことで一区切り付けることができたような気がしました。
【4】まとめ
自覚していれば相手を傷つけることもなくなる、そう信じていますが、これからのことはまだ分かりません。
好きなのに近づけないのは「素直じゃない」から、ただそれだけでしょうか。両思いだけが、恋愛においての幸せなのでしょうか。私は好きでいるだけで満足なのだから、こちらを見ないでほしいのです。
(Shano編集部)
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