新型コロナの影響で様々なイベントが中止や自粛となる中、「東京レインボープライド2020」も中止になりましたね。ですが、「オンライン上で開催する」という「#おうちでプライド」が実現しました。
もしかしてこれは数年前でも実現するには難易度が高かったのではないか……と昔のネット環境やその他の方面から考えてみようと思います。
【1】インターネット環境今昔物語
こういうことを書くともれなく「インターネット老人会」などという言葉がやって来る現代ですが、例えば最近成人しました、もしくはもうすぐ成人ですという世代の方で「ダイヤルアップ接続」という単語を聞いたことのある人は果たしてどれだけいるのでしょうか。恐らく聞いたことはあっても体験したことはないのではないかと思います(ピーヒョロヒョロという接続音が独特でした)。
例えばこの外出を控えなければならないという状況において一役買ってくれている動画配信サイトですが、YouTubeなら2005年設立、niconicoなら2006年設立でして、ダイヤルアップ接続は(調べてみると一応はまだ現役のようです)それよりずっと前に主流だったインターネット接続方法です。
今はスマホが常時インターネットと繋がっているようなものだからこそ指一本、ボタン一発でSNSを見たり動画を観ることが出来ますが、昔は「先ず接続作業から」なんですよね。
そして動画なんていうものはとてつもないデータ量なので現在のような動画は視聴出来なかったでしょう。画像すらも少しずつダウンロードされて見えてくるものだったので。
段階を踏んで少しずつネット環境というものは良くなっていきましたが、SNSでスムーズに情報交換なり発信なりが出来るかと言われればそうでもなく……創作活動などをされている方々は今でこそpixivなどがありますが、一昔前は各々がホームページビルダー若しくはHTMLと睨めっこして個人サイトを作っていたんです。こうなってくると、「リアルタイムでオンラインで」という段階から難しくなりますよね。
【2】SNSが馴染んだからこそ
さて、インターネット環境だけが整っていれば実現したのかというとそうでもないと思うのです。
というのも、ただシステムだけがあればいいのではなくこうした物事の場合は特に「人」の感情であるとか、知識欲とか、共有したい、共感したいという部分が関わって来ないと「無意味ではないかもしれないけれど、一歩足りない」というような状況になりかねません。学校だとか職場に無理矢理参加させられる興味のない講義みたいな感じですね。一昔前に某大型掲示板が人を集めたことや、現在様々なSNSがあるのがその証拠ではないでしょうか。
SNSやインターネット関係には実際良い部分も悪い部分もあるのは間違いないです。でもそれが「良くも悪くも人間ってこんなもんだ」となるくらい、SNSは浸透しました。
たとえそれが本名でなくとも、それでもいい場所。許される場所。こうした土台があるからこそ、リアルでは声を上げにくいLGBTの人も「ちょっと声を出してみよう、参加してみよう」と思えたり、そうでない方々も「なんだなんだ?」と興味を持ってくれたのではないでしょうか。
【3】動画配信者など、「発信する」人の増加
SNSの力について先程書きましたが、これに追加する形でやはり動画配信サイトなどで「発信する」方々が増えたということも重要です。
昨今は子どもの将来の夢にYouTuberがランクインし、それを心配する親御さんが……というお話はよく聞きますが、逆にそれだけそういう方々がメジャーな存在になったというわけですね。
因みに、お子さんが動画配信者になりたいと言い始めた場合、実際に動画を作るなどの作業をさせてみるといいでしょう。パソコンがあればあとは録画も編集もフリーのソフトがありますし、フリーゲームも沢山あります。なので、合う素質を持ったお子さんはそれもアリですよ。企画、録画、編集その他諸々の作業を自分で定期的にやれるかどうかが肝でしょう。
話は逸れましたが、動画配信という形でセクシャルマイノリティの方々含め様々なマイノリティの人々が情報発信というか「ここに自分達もいるよ」と表に出てくれています。すごいですよね、今まではテレビでマイノリティの中から「テレビ向き」な人しか表に出られなかったんですから。そうでない方面から色々な人が、インターネットという誰でもアクセスすることが出来る場に出てきてくれているんですよ。
【4】出来なかったけれど、出来たことがある
今回、東京レインボープライド2020が開催出来なかったことは残念なことですし、少しでも新型コロナが落ち着いていくことを願うのは誰しも同じ気持ちだと思います。
不安は簡単に取り除けるものではないですから、「敢えてのんびりする」くらいの心構えでいたい所ですが人によってはそういうことを言っていられないんだというものもありますね。
けれど、今回「#おうちでプライド」というオンラインでの開催を知った時に「これはすごい試みになる」と感動しました。これなら、こうしたエネルギーがあればきっと大丈夫だと。
また、「オンライン上で開催する」ということが可能ならば、他にもオンラインで何かしらのイベントを出来るんじゃないかと考えられる切っ掛けになります。
インターネット環境、SNS、その他様々なツールを使えばもっと楽しいことが出来るのかもしれないと。予定されていたイベント自体は中止されても、マイナスで終わってないんですよ。
【5】まとめ
今回、セクシャルマイノリティというよりほぼインターネットのお話になってしまいました。ただ、オンライン上で開催するという試みのすごさをインターネットに長く触れてきた身として「本当にすごい世の中になった!」と思ったので、そちら側から書かせていただきました。
多くの人がインターネットに触れ、SNSが育ち、インターネットでの動画関連の文化が沢山の花を咲かせる今、セクシャルマイノリティ当事者の一人としては楽しみが増えるばかりです。
(Shano編集部)
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