Xジェンダーに関する情報は未だ少ない中、特にMtXの方についてのお話というのはなかなか耳にすることがありません。とはいえ、MtXはいないというわけではなく確実に世の中にいて、私たちの近くで生活していることでしょう。
ただ、男性社会の中で日々を誤魔化している可能性もあります。それに繋がりそうなキーワードとして「ホモソーシャル」から少し考えてみようと思います。
【1】ホモソーシャルとは? 意味解説
ホモソーシャル とはなにか、というお話からしましょう。恋愛または性的な意味を持たないことを前提とした同性間の結びつきや関係性を意味して居ます。例えば、友情や師弟関係、会社のパートナーなどがそうですね。
今回、MtXを苦しめているかもしれない話をしますが、これが完全なる「悪」なのかというとそういうわけでもないでしょう。
例えば歴史上に残る偉人や英雄のエピソードしかり、普段私たちを楽しませてくれる娯楽作品においてもこうした一面はあるものですし、現実の人間関係にも良好なものとして存在します。
とはいえ、「同性間」であるからこそ「Xジェンダー」である身には堪えるものがあると思うのです。
【2】どちらにもつけないから、真似をしなくてはいけない
さて、Xジェンダーというのが性自認において男性にも女性にもなれない困り事を抱えている人々とする場合、土台が同じではないということでして、「同性同士の関係性で物事を楽しむ」ということが難しくなってくるわけです。
勿論、本人が「男性寄り」であればそれなりに楽しめるでしょうが、あくまで「男性寄り」であって「男性」と同じかといえば…それは「似ているようで違うもの」と考えていただけると有難く思います。
ですから、少し過剰な表現になってしまいますが、特にMtXの方の場合、周囲のホモソーシャル的な関係の中で「異物」と思われないように常に擬態をしなくてはなりません。
女性というわけでもなく、Xジェンダーの中には「寧ろ性別そのものがいらない」派の方もいますので、女性のグループに入っていくのもまた違うものがあるんです。FtXの方の場合も、よく似た問題に直面していますよね。
【3】人間関係は大切にしたいとはいえ…ストレスも生じる
社会生活というものを営んでいる以上、誰かと関わることなく生きていくというのはなかなか難しいものです。
人との関わり方、またどれだけの人と関わるかという所には個人差はありますが、直接的ではなくとも間接的に人は自覚している以上に多くの人々と関わっています。例えば筆者が書いているこの記事も、書いている筆者と呼んでくださっている方の間に僅かではありますが関わりが出来ているということになりますよね。
まして日々顔を合わせる人々の中に強い連帯意識があって、自分がそこに馴染めなかったり無理矢理合わせなければならない環境にあれば関わりの「濃度」はかなりのものですし、そうなるとそこから生じるストレスもとんでもないことになります。
セクシャルマイノリティでもそうでなくても、こうした人間関係というものがある中で嫌な思いをしたことがないという人の方が少ないのかもしれませんね。
【3】嫌気をさしてしまう人は多い?
「ホモソーシャル」というよりももう少し幅の広い人間関係の話になりましたが、実際セクシャルマイノリティではないストレートの男性などでも「ホモソーシャル」という関わりに嫌気がさしている人もいるようですね。
同性とはいえセクハラにあたる、またパワハラにあたるものがあるからということだそうで、ストレートな方でも同性間の関係性というのは変わってきているようです。
とはいえ、こうした社会での関係性に紛れ続けるというのは疲れるというだけでは収まらない辛さがあると思います。そうした辛さを和らげる、無くす手段や居場所作りというのも必要なのかもしれませんね。
(シキ/ライター)
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