人生において、妊娠や出産という出来事から若干遠いこともある Xジェンダーというセクシャルマイノリティですが、今回友人を通して一種の笑い話のような体験をしたので、箸休めのような感覚で読んでいただけると嬉しいです。
【1】色々な作品で「お決まりのパターン」とも言える「パニックになる人達」
現代を舞台にしたものでもシリアス度合いが低かったり、または一昔前の時代を舞台にした作品の中によく出てくるのが「産気付いた人に何をしてやればいいのか分からずパニックに陥る男性陣と、手際よく支度をして時には指示を出す女性陣」というものがありますね。
因みに筆者の祖母などはまだ若い頃に近くの妊婦さんが急に産気付いてしまい、産婆などではなかったものの出産の手伝いをしたことがあるそうです。というか、ある程度の世代の女性の中にはそうした経験があるようですね。
考えてみれば車などの移動手段が殆どなく、医者や産婆を呼ぶにも時間がかかる頃なので仕方ないのかもしれません。
また、多くの人が医学や人体の知識を持っているわけでもないので、出産経験のある女性を頼りにするしかなく、何をすればいいのか分からない男性陣が混乱するのは納得、というところでしょうか。
【2】妊娠した友人とのやり取りで知る「知らなかったこと」
昔から時々連絡を取り合う友人がこの度めでたく妊娠し、産休になってからは色々と体調の変化を聞くことが増えました。
友人も初産ということもあってか、色々と愚痴まではいかなくとも体調の変化についてを教えてくれるようになりました。身近に妊娠や出産を経験した人がかなり少なかったので、実は妊婦さんの体内にどれだけの負担がかかるのかなどの詳しい話は殆ど知らなかったのです。
子どもの時では理解出来なかった知識や情報も大人になって理解出来るようになり、より「大変さ」が分かりました。
性自認は置いておいて肉体の性別は女性の身体ではあるので、「だいたいこういうものかな?」くらいの雰囲気程度の感覚はあったのですが、それを全て上回るほどの情報や感覚の話を聞いて「これは人体の設計ミスかな?」と首を傾げてしまう程に「過酷」じゃないかと思ったんですね。
【3】性自認が違うからこそ、人生の予定や予測になかったからこそ…
筆者は、実際の肉体と性自認は一致しませんし、人生においてパートナーが欲しいかと聞かれると強くは願わない人間です。なので、そうなってくると自分の人生の中に妊娠と出産が入る確率はかなり低いですし、友人知人、家族や親戚など身近な所に今まで妊婦さんがいませんでした。
ですから、今回様々な話を聞く度に「大丈夫?」「ちょっとそれは大変過ぎじゃないか?」等々、発言がもう「お手伝いも何も出来ない男性陣」側で出てくるものばかり。実際遠方の友人なので何も出来ないのですが、「旦那と同じこと言ってるよ」と友人から笑われてしまいました。
肉体と性自認が一致している女性ならばここまでアワアワとならないのかといえばそれもまた違うのでしょうが、少なくとも自分の人生設計に有るのか無いのかで心構えというか向き合い方など違うところがありそうですね。
【4】まとめ
さて、こうした妊娠や出産に関して様々な研究が行われていますし、代理出産というものも存在します。
セクシャルマイノリティの方々で子どもが欲しいという方も一定数いらっしゃると思いますし、そのために何かしらの方法を選ぶ方もいらっしゃいますね。逆に、どれだけ女性に嫌悪感を持っている人がいたとしても、その人も余程の例外でない限り現状では女性からしか生まれていないんです。
人工子宮の研究はまだ実用化に至っていませんし、代理出産は「貧困ビジネス」であったり、もしくは「限りなく黒に近い灰色」の部分が大きいので、私たちセクシャルマイノリティ側がこの辺りについて出来ることというか考えておくことはもしかするともっとあるのかもしれませんね。
とりあえずは、妊婦さんにもっと優しくというか気配りの出来る人間でありたいと思った次第です。いや、予想以上に過酷だと思ったので……。
(シキ/ライター)
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