同性愛者が家を借りる際にトラブルに見舞われる件について、これまでウェブメディアでも多く取り上げられてきました。今回、一般財団法人 住総研が本件に関する論文を掲載したため、簡単に紹介します。
【1】同性愛者の住居問題とは
これまで、Shano編集部の調査では、女性カップルの同棲と男性カップルの同棲で異なる側面の問題傾向があることを確認しています。実際に、国土交通省の調査で明確にLGBTを入居制限している賃貸人の割合は0.6%です。表立っては拒否していない数も含めると、もっと多いのではないでしょうか。
(1)レズビアンから寄せられた同棲問題
「そんなことはないと思うのに、ルームシェアは固定費を浮かせたい男性がやるイメージがあるらしく、親へのカミングアウトが必須になるケースもあるらしい」
「女性複数人で家を借りるのは難しいと断られる」
※不動産がそう判断した理由はわかりませんが、男性同士カップルの2つ目に通ずるところはあるかもしれませんね。
(2)ゲイセクシャルから寄せられた同棲問題
「力のある男性同士だからか、『犯罪に使うのでは?』と疑われる」
「男性=大黒柱のイメージがあるのか、男性2人で住む=経済的な問題があると思われる」
(3)同性愛者・同性カップルに共通して寄せられた同棲問題
「同性カップルとわかると難色を表す営業がいる」
「家を借りたいだけなのに、不動産業者から心無いことを言われる」
「ルームシェアの物件次第多くないのに、カップルとわかると断られる」
「距離の近さから、ご近所さんにバレる」
【2】住宅問題に直面した割合は73.9%
2018年、株式会社リクルートが行なった362名へのアンケート調査によって、賃貸住宅を確保する (28.7%)、住宅を購入する(31.1%)際に困難に直面していることが明らかになっていました。
そして今回、葛西リサ氏が主査の調査「セクシュアルマイノリティの住宅問題 ―「誰と住むかは私が決める」ことができる社会の実現に向けて―」によって、より同性愛者が住居問題を抱えている点について可視化されました。同志の調査では、セクシャリティを理由に何らかの住宅問題に直面した経験がある割合が73.9%と高値を示しています。
LGBTコミュニティにおいて、住宅問題の話題が上がることを多々Shano編集部では確認しておりますが、「不動産へ行くことに不安がある」という回答は18.9%にのぼったそうです。
「人々の不安や知りたいことを当事者であるライターが考え、発信する」をポリシーとしてきた『Shano』でも、これまで以下のような記事を掲載しています。
同性愛カップルが住みやすい場所はどこ? おすすめの自治体を紹介!
レズビアンカップルが同棲生活で気をつけたいこととは?
【3】入居拒否の割合は〜20%程度
2021年10月22日〜11月21日の1ヶ月間にかけて、葛西リサ氏らがオンラインでアンケートを行なった結果、有効回答1,754件が得られました。
Shano編集部内で多く確認している入居拒否等については、以下の結果が出ています。
やはり、関係性について執拗な詮索があったり、あからさまな嘲笑があったりと、不快な接客事例が数多く挙がったと報告されています。具体的な声がけについては、該当論文のP.101に記載されています。詳しく知りたい方はぜひ確認してみてください。
【4】回避策で選ばれやすいのは「持ち家購入」
金銭的な問題を解決できる場合に、多く取られた選択肢が「持ち家の購入を検討する」というものです。れずビアンやゲイセクシャルにおいては、4割〜半数程度が持ち家で同棲をしていました。民貸とほぼ同じ割合です。
【5】支援・理解が増えることを期待
セクシャルマイノリティが理由で不動産事業者・賃貸人へ不利益を被る場合があるのであれば、入居拒否などの対応は仕方ない部分があるかもしれません。ですが、論文では感情的な側面によるトラブルが多く明らかになりました。
実は、2022年に国土交通省が発表したセーフティーネット制度の範囲に、LGBTの記載がされ考慮が必要なケースもあると見做されています。支援される必要のないくらい理解されるのが理想ではありますが、まずは少しでも住宅問題が解決するよう、実態の周知が必要そうです。
(Amy/ライター)
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