【4】デミセクシャルという概念を知った
そして大学生から社会人になったSさん。
親友への想いは消えないものの、とある運命的な出会いを果たしました。
(1)素敵な彼氏に出会った
「私は会社の同僚に興味を持ちました。人として好感を持てるような人で、恋愛して見ても良いかも……と感じたんです。エッチが嫌いだから、自分からアタックするのには抵抗があったけれど、幸い彼の方から告白してくれて……。自分はエッチが苦手だということを伝えて、お付き合いがスタートしました。
彼は、本当に私の気持ちをよく汲んでくれましたね。全く、迫ってくることがなくて、彼も性欲がないんじゃ……と思うことがありました。しかし、彼が慌ててトイレに行ったときには、むわっとあの独特な匂いがして。申し訳ない気持ちでいっぱいでした。だから、私を処理目的で使っても良いことは伝えたのですが、彼は『エッチはお互いにその気になって、気持ちでするものだ』といつまでも待ってくれましたね。本当に、素敵な人だと思います」
彼がSさんのペースに合わせて付き合ってくれたことで、彼女は恋愛で無理をすることがありませんでした。
ストレスがなかったため、良好な恋愛関係が長く続いたと言います。
(2)信頼関係を築いてついに……
「今まで自分が性欲というものに鈍かったから、性欲には気づきませんでした。でもあるとき、『彼なら抱かれてもいい』と思うようになったんです。それを彼に伝えると、とても喜んでくれました。
彼は、『もし嫌だと感じたらすぐに止めていいから』と言ってくれましたが、結局、最後まで行きましたね。すごく幸せな気持ちで満たされたし、ムズムズするような気持ち良さを感じました。この後から、私は自分から『彼とエッチしたい』と思うようになって、その変化に驚きました。それと同時に、私は本気で初めて人に恋をしたのだと実感しました。今までは、恋に恋している感じで、相手の男性のことをそこまで好きではなかったんだと思います……」
こうして、エッチに抵抗がなくなったSさんは、無性愛というより、性欲が弱いだけなのではないかと思います。
それと同時に、親友に恋愛感情を抱いたことで、自分はバイなのではないかという疑惑が湧きました。
(3)ネットを漁ってみた
「自分はレズなのか、バイなのか、なんなのか……。わからないとモヤモヤしますよね。そこで、色々とネットで調べてみて、『デミセクシャルなのではないか』という、一つの答えに至りました。
当時全く聞いたことのない言葉でしたけれど、親友や強い愛情を持った相手にだけ性欲を抱く点で同じでした。調べているうちに、いくつかの事例を見かけましたが、共感できるものばかりで、すごく納得しましたね。私は親友と恋愛関係になって関係を壊すのが怖いから、ずっと親友のままでいると思うけれど、男性とまず愛情を築けばいいとわかって、とても安心しました。
しかし、やっぱり仮に今の彼と別れてしまったら、エッチを待ってくれるか、私が嫌なエッチを耐え続けられるかという不安があります。知らない概念だと思うので、中々難しいと思いますけれど、こういう人もいるんだ思って、肉体関係になるのを待つ人が増えればいいと思います」
エッチを楽しめるくらい深い関係になって、今は結婚も視野に入れているそうです。
彼が待ってくれたからこそ、長く続いた関係だと思うと素敵ですよね。
【5】まとめ
筆者もアセクシャルですが、その答えにたどり着くには時間がかかりました。
自分がデミセクシャルだと気づく人も少ないのではないでしょうか。
その場合に、恋人にうまく自分の状況を説明できない上、自分自身が理解していないことが多いでしょう。
言葉が浸透するとともに、自他ともに気づける社会になるといいですよね。
(Amy/ライター)
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