【3】社会に対する見方
こうした気づきに至るまでの経験を受けて、Tさんはジェンダーバイアスについて話し始めました……
(1)周りからバレることなく生活できる
「FtXと認識してから困ったことは、多くはありません。社会的には女性として生活をしていますし、ずっとそうしてきたので違和感なく居られます。職場は服装自由の会社に勤めているので、ほとんどパンツスタイルです。話し方なんかも極端に女性っぽく、男性っぽくなければ、セクシャルに関わらず丁寧であるように見えると思います。見た目や言動で回りにばれることはありません」
(2)ジェンダーバイアスには人一倍敏感
「ただ、『女の子は重いもの持たなくていいよ』とか『男性は細かい仕事より営業』とか、そういう優遇不遇に関わらず頻繁に交わされるジェンダーバイアスのかかった発言には人一倍敏感です。私はどちらかというと動き回る営業仕事のほうが好きですし、力仕事も苦ではないです。ただ男性か女性かだけで区別してしまうのって、個人の可能性をつぶすようでもったいないですよね」
(3)社会の考え方に辛さを感じながら生きている
「今は社会も少しずつ見方が変わってきてるので、性自認や社会的性別にかかわらず『得意なこと』をで生きていく人が増えましたけど、まだまだだと思います。私みたいな性別にとらわれない人も、望んだ性で社会生活を過ごせていない人も、体と心の性は一致しているけど社会の男性、女性の考え方につらさを感じている人も、みんなが生きやすい社会になったらいいなと思います」
【4】カミングアウトしても理解されにくい
生活をするにあたり、周りから気づかれることはないものの、性自認を自らカミングアウトすることもあるそうです。
しかし、なかなか理解されないのが現状だと話します。詳しく話を聞いてみました。
(1)信頼関係にある人でも伝わりにくい
「多くはありませんが、私の性自認について知っている友人や知人はいます。もちろん信頼できる人にしかこういう話はできないのですが、そんな信頼関係のある人にも『Xジェンダー』は伝わりにくいんです『とはいっても女の子っぽいよね』と言われてしまうんです。見た目も性格も割とフラットなほうではありますが、女性の体で生まれてきてしまっているので、やっぱり端から見れば女性っぽいんだと思います」
Xジェンダーが多様だからこそ、余計に「こうだ」ということが伝えにくそうです。
相手が理解の姿勢を見せていても、なかなか伝えられない部分があるのかもしれませんね。
(2)服装の好みは関係がない
「確かに、服もレディースのほうが多いし、アクセサリーも女性ものをつけることが多いです。でもそれって私が女性かどうかって事とは全然関係なくて、私にあった服装と表現を求めた結果、一見女性に見える格好が私は好みってだけなんです。もちろん見た目が男性に近いFtXもいます。私の知り合いのFtXやMtXの子は、体の性と逆の性の格好をしている人のほうが多いんですけど、どっちでも好きな格好できるのが一番ですよね」
服は自己表現の一種ですからね。
あえて、自分の性と逆の格好をして、Xジェンダーであることをアピールする場合もありそうです。
社会にとらわれることなく、自由に着ることができることができるといいですよね。
(3)多様性を認められるようになるといい
「でも、体の性、こころの性、見た目の性、すべてを切り離して考えるのは、やっぱり疑問を持たずに生きてきた人には理解するのが難しいのかもしれません。だから、私は私、あなたはあなたと個を尊重できるといいと思います。また、色んな性の人が居ることを認めあえる社会になったらいいなと思います」
セクシャルマイノリティで一括りにしても、やはり個人の価値観によってそれぞれ捉え方が違ったりしますからね。
そういうのもひっくるめて、多様性を受け入れられるようになると、みんながもっと生きやすくなるように感じます。
【5】まとめ
ジェンダーバイアスによって、Xジェンダーに気付きにくかったり、相手に理解されにくいところがありそうです。
また、そういったバイアスがなくなって行き、相手を個としてみて、「こういう人もいるんだ」と捉えることができるようになれば、もっとマイノリティーもオープンにできる社会になりそうですね。
(Amy/ライター)
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