トランスジェンダー役は、トランスジェンダーがやらなければならない?

トランスジェンダー役は、トランスジェンダーがやらなければならない?

少々厄介なジャンルの話題が絡んでしまいますが、海外の俳優さんがトランスジェンダー役を受けたものの批判を受けて降板というニュースがありましたね。

「何でダメなのか」というよりも、「批判を受ける理由が見当たらない」と考えているのですが、「ダメな理由」はどこにあるのでしょうか。

【1】そもそも、演じるということは…

筆者は、学生時代に演劇をかじったことがありますし、似たような経験を持つ人や更に本格的な演劇に取り組んでいらっしゃる方もいるでしょう。

そしてそうした場で、「演じる」ということは「素の自分ではない何かになって観客などに見せる」ことだと知ります。

また自分自身に演劇経験が無い人でも、ドラマや映画に出演する俳優の方がバラエティ番組に出演された時など「フラットな時は、こんな感じの人なんだ」と知ることがありますよね。

演じるということは、そういう「差」があってこそのものと言えるのではないでしょうか。

【2】「作品=本人」ではないからこそ…

世の中には、色々な創作物がありますね。

その創作物の作り手と作られたものの中身が一致しないように、俳優さんそのものと「演じた作品の役柄」は一致しません。

とはいえ、悪役が多い俳優さんが役柄のイメージと混同している人に石を投げられた…などの話は昔の日本でもある話なのですが……。

役柄と本人を分けて考えられないというのは困りものですが、逆にそれだけ俳優さんの演技が「現実以上のリアリティを持っていた」とも言えます。

声優の方々などは、現実離れした世界に命を吹き込んでいますよね。物語が映像になったところで、登場するキャラクターの声に命が感じられなければ「映像化した意味あるの?」と言われてしまうのがオチです。

荒唐無稽な世界やキャラクターを支えるのが、声優の方々の技術に裏打ちされた演技ということですね。

【3】当事者がやる意味と、当事者ではない人がやる意味

確かに、当事者が出演している作品もあります。有名なのは、映画「フリークス」でしょうか。

これは実際に、奇形の方や身障者の方が出演しています。とはいえこれは作品がそうした当事者を求めたものですし、世界的にも見世物小屋という興行がまだ盛んだった時代だからこそ制作が可能だったものでしょう……それでも作品や監督への批判はあったわけですが。これはちょっと極端な例ですね。

さて、セクシャルマイノリティ当事者が表に出て何かしらパフォーマンスをすることは少なくないと思っているのですが、「じゃあそのまま演じればいいじゃないか」と言われるとそれもまた違う気がするのです。

「自分ではないものになる」ことが演じるということだとしたら、「素の自分」と違う要素が大量に盛り込まれていない限り「現実以下のリアリティ」になるでしょう。それは、観る人の心を揺さぶるでしょうか。

俳優や声優など、演劇をお仕事にされている方々というのは「結果的に何かを伝えやすくする」技術に長けていると思います。複雑な人物像を一旦紐解いて、自分の内部に落とし込み表現する。そういう意味では、当事者ではないからこその視点や思考が加わって「より伝わりやすい当事者」が出来上がるとも考えられます。

だからこそ、勿体ないと言いますか…演技の幅が広がる等、本人のメリットはあれどデメリットが思い浮かばないんです。

【4】もしもリアルを求めるとして

「当事者がやるべき」を少し広げて解釈し「この役柄をやるにはこの枠の人でないとリアリティがない」という所にまで持って行くとしてもやはり気になる所はあります。

リアルを追求するため「該当する体験をした人のみ」ということで作品を作るとしても、例えば日本なら戦国時代を体験した人なんて生きているわけがありません。なので時代劇というジャンルが作れなくなります。

アメリカでも開拓時代の人々はもういないでしょうし、作品内で暴力やグロテスク表現があればそれに近い体験をした人のみが……という妙なお話になってしまいますね。

あと個人的に、「宦官の役の場合どうするんだ」と思ったりもしました。宦官とは、古代中国に存在した役人でありなかなかに位の高い存在なのですが……宦官になるためにはそれ相応の頭の良さ以外に「去勢」が必要条件なんです。

まだ麻酔なんてものもなく、手術だってどうしているのか分からないような時代に去勢。王族を脅かす子孫を残させない為など理由は色々あるらしいのですが、存在を知った時にはモノがついていない身でも股間がヒュンとしたものです。

【5】まとめ

確かに、トランスジェンダーではない人がトランスジェンダーを演じるというのは難しいことでしょうし、当事者が演じた方が難易度のハードルは低いとも言えます。言えますが、それだけなんですよね。

もしかしたら、演じた結果「トランスジェンダーに近いけれど違うもの」になる可能性もあるかもしれません。とはいえ、トランスジェンダーにも様々な方がいるわけですから、「これがトランスジェンダーの正解だ」というものが存在していると考える方が早計でしょう。

とはいえ、あまり難しい話題にもしたくないのでニュースを読んだ時の一番の感想としては「つまんない!これじゃあつまんないぞ!!」というシンプルなものだったことを添えておきますね。

(シロ/ライター)

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