【3】異性と手を繋ぐことさえ抵抗があった
こうした中で、アクシデントが起こり、Amyさんに初めての恋人ができたと言います。
その理由というのが……
(1)告白されずに恋人ができた
「あるとき、よく一緒に帰っていた、というかついてきた運動部の男性に、スイーツに行かないかと誘われたんです。全く興味のない男性とデートをするのは苦痛だし、プライベートでまで親しくない人と会う気はないので、お断りをしました。そしたら、どうやら彼は私を彼女として認識していたみたいで……。話が食い違っていることに気がつきました。告白もされていなかったし、恋人らしいこともしていなかったので、思わず、『え?』っていう反応をしてしまいましたね。彼も驚いたみたいですが、懲りずにつきまとってきました」
(2)やっぱり人を愛せない
「次第に、一部の目撃者の間で彼と付き合っていることが噂され始めましたが、当時の状況から考えて、否定する方が大変でした。でも、だからと言って手を繋いだり、それ以上のことをしたりっていうのは、嫌悪感しかなく、とてもじゃないけれどできませんでした。私はやっぱり人を愛せないんだなって思いましたね」
図らずも、「恋愛しなきゃいけない」という空気から逃れることができたAmyさん。
しかし恋愛をする気にはとてもなれず、形だけの恋愛だったようです。
彼と出会ったのは高校3年生だったこともあり、自然消滅という形で、何事もなくお別れしました。
それから大学生になっても、ずっと恋愛することはできなかったと言います。
【4】この人となら恋愛できる! 運命の出会い
大学を卒業して、出版系の会社へ勤め始めたAmyさん。
1年目は雑務全般を任されながらも、記事を書いたり、取材同行したりする日々でした。
次第に彼女は、プラベートでも書籍の執筆を試みるようになります。
しかし、公表しようと思っていた研究では、面白い結果が出せたものの、それを解説するには自分の専門知識が足らないと痛感していきました。
当時、かなりマイナーなジャンルだったこともあり、彼女はたまたまそれを専門にしていたSNSの知り合いの人に、仕事として書籍の監修を依頼します。
そこで運命の出会いを果たしたと言います……
(1)初めてあった気がしなかった
「はじめに彼とあったとき、とても初対面とは思えなかったんです。ずっと昔から知っていたような不思議な感覚に包まれていました。もともと、SNSではネット友達として繋がっていたので、長く付き合っていけそうな人だと思いました。もちろん、全く恋愛をするなんて思っていなかったんですけれどね」
(2)恋愛したい気持ちになれた
「何度か打ち合わせをしたり、記事用にデートスポットの写真を撮るのに付き合ってもらったりしているうちに、プライベートでも遊ぶ仲になっていました。気づいたら、『この人と恋愛をしたい!』と思うようになっていて、自分でも驚きましたね。これが恋愛感情かというと、難しいところではありましたが……。彼から告白されたので、お付き合いを始めました」
(3)恋のドキドキ感がない代わりに……
「でも、やっぱり恋のドキドキ感なんてものはなかったです。ただ、不思議と家族のような居心地の良さがあって、手を繋いだりキスすることにも抵抗感はありませんでした。もし相手を本当に家族のように思っているなら、エッチは無理だろうと思っていたのですが、意外とそれも簡単にクリアしましたね。最初はやっぱり、無感動で何がいいのかさっぱりわかりませんでしたけれど」
Amyさんは、今も恋のドキドキ感や性欲がわからないと言います。
しかし、不思議と運命の相手だと思える人に出会い、恋愛することができました。
彼女は、今では彼と結婚したいと思うほど、愛おしい気持ちで溢れているようです。
人とは不思議なものですね。
【5】まとめ
恋愛を無理にする必要はありませんが、アセクシャルの人は、「私は人を愛せないから」と決めつける必要はないのではないでしょうか。
もし、自分が恋愛したいと思える相手に出会えたら……。
素直な気持ちに従ってみると、素敵な出会いを果たせるかもしれませんね。
(杉本レイ/ライター)
- 1
- 2
コメントを残す