【2】カミングアウトで言われて辛いと感じる反応
いざ説明をしたところで、「それってどういうこと?」と首を傾げられ自分が傷つく反応を返されることも多いです。
そのため、自分のマイノリティを知ってもらうまでに至る道のりが険しいもののように思えます。
今回は、私が実際にカミングアウトして返ってきた反応を例にあげていきます。
(1)「結局人を好きになれないってこと?」
アロマンティック・アセクシャルの定義は、先にも述べたように定義が曖昧で、いくつかの性的指向が混在しているような状態です。 その為、このカテゴリに属する人たちは、みんなが同じ指向を持って固定されているわけではありません。
私の場合も、常に自分の状態が固定されているわけではないので、「性的欲求を人に持った」過去もあれば、「恋愛欲求を人に持った」こともあるわけです。しかしそんな過去を過ごして、今現在は「他人に対して恋愛欲求も性的欲求も持たない」状態が続いています。
これまでの自分の過去を掘り下げて今の状態に至るまでを友人へ話した時、友人は困惑した表情で、このような言葉を返してきました。
私はなんと言葉を返すべきか悩んで、「そうじゃないんだけど……。なんていうか、博愛主義なんだ」と彼女に伝えました。 そこでようやく、彼女は納得したような素振りを見せたのです。
俗に呼ばれるノンケの人たちには、私たちマイノリティのカテゴリは複雑に見え、理解するまでに時間がかかるようです。
自分のカテゴリを知ってもらうためには、その複雑な内面をできるだけ分かりやすく理解してもらえるような、その内面に近い言葉を使って表現する方が良いのだと思いました。
(2)「分からないから気持ち悪い」
これは私が長年、親友として過ごしていた女の子にカミングアウトした時に言われた言葉でした。
当時10代だったこともあり、親友の言葉も真っ直ぐで、勿論カミングアウトすることに慣れていなかったわたしは彼女の言葉にひどく傷つきました。
時間が経った今なら分かるような気がします。
誰だって、自分の中には存在しない気持ちというのを想像したり、受け入れたりするのは難しいことだと思うからです。
きっと彼女なりの精一杯で返してくれた言葉なのだと思います。
だけどやっぱり、気持ち悪い、と言われたときは、自分のセクシャルが全部否定されたような気がして、長いあいだその言葉が尾を引いてわたしを苦しめました。
(3)「結婚できないってことでしょ?」
アロマンティック・アセクシャルであることをカミングアウトしないまま、ある男の人と付き合っていて何年か経ったときに、結婚について迫られたことがありました。
私は暫く時間をかけて、彼に自分のセクシャルについてカミングアウトすることを決め、おもいきってカミングアウトしたのです。
その時に彼は、冷たい目をしてこんな言葉を返してきました。
そのあとはもうあっという間の出来事で、当然、彼は私とは別れ、彼が「普通」とカテゴライズした女の子と付き合い始めたようでした。
私にとって彼は一緒にいると居心地の良い存在で、結婚などという名前に縛られない自由な付き合い方ができればと思っていたのですが……。
やはりセクシャルマイノリティに当てはまらない人たちは、付き合っていればその先を望んでしまう傾向にあるのかなと思った瞬間でもありました。
【3】まとめ
セクシャルマイノリティは、それぞれが自認して自分なりに理解をしてカテゴライズされていくものでもあります。
しかし、それを他人へカミングアウトするという行為は難しく、自分が思っている以上に理解を得られない瞬間が少なくありません。
理解してもらえなくても良いから、せめてこんなセクシャルであることを知ってほしい……と思う気持ちはかけがえのない素敵な気持ちだと思います。
異性や同性といった区別なく、全ての人が少しだけ視野を広げてくれることを願っています。
(退(さがる)/ライター)
- 1
- 2
コメントを残す